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JEAN BlogsJEANの「感動価値」ブログ

2022/10/05

顧客に感動を提供する組織づくりについて〜チーム学習編〜

前回に引き続き、今回も顧客に満足や感動を提供することのできる組織について、皆さんとご一緒に考える機会とさせて頂ければと思います。

前回の投稿(共有ビジョン編)では、以下2点について述べさせて頂きました。

  • 顧客が満足・感動するような商品・サービスを提供できる組織を作るためには、組織としての学習能力を高めることが大切である。

  • 組織がビジョンを描き、共有・浸透するには、ビジョンを従業員へ押し付けるのではなく、従業員個人のビジョンも尊重し、双方が歩み寄ることが大切である。

「チーム学習」とは

さて、上記を踏まえ、ここからが本題です。

今回は、「チーム学習」についてです。

ピーター・M・センゲ氏の著書「学習する組織」には、「経営者が管理する形の組織」から、「組織に所属する全員が学習能力を高める組織」へ変革することの重要性について記されており、以下、5つの視点に沿った理論が提唱されています。

  1. 自己マスタリー

  2. メンタル・モデル

  3. 共有ビジョン

  4. チーム学習

  5. システム思考

今回のテーマである4つ目の「チーム学習」とは、メンバーが心から望む結果を出せるようにチームの能力をそろえ、伸ばしていくプロセスである、と本書に記述されています。

もう少しお伝えすると、「チーム学習」を行う上では、対話(ダイアログ)を通してメンバーが持つ、多様なメンタルモデル(深く染み付いた前提、思い込み)を理解し合うことが重要だとされています。

自分がどのようなメンタルモデルをもっているのかは、どうしても一人では気付きにくいものです。

だからこそ、対話を通じて、様々な視点や価値観を受容し、自分の観念を取り払って、課題や問題を解決していく、そして、物事を進めていくことが重要になります。

「チーム学習」のキーポイントである対話により、組織のパフォーマンスの最大化が図られるという考え方です。

事例共有(オムロン京都太陽株式会社)

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引用:オムロン京都太陽様ホームページより
https://www.kyoto-taiyo.omron.co.jp/

先日になりますが、オムロン京都太陽様(電気機械器具の製造・京都市)に会社・工場見学へ伺ってきました。

今回のキーポイントである組織内での対話について、こちらの会社の事例を挙げさせて頂きながらお伝えできればと思います。

オムロン京都太陽は、京都で1985年に創業以来、一貫して障がい者雇用を行う中、障がいを持った方が自らの力を活かして働いて自立する機会の創出にこだわってきました。

現時点では、働かれている人の8割が障がいを持っておられるとのことです。

身体・精神・知的といった様々な障がいをお持ちの従業員の皆さんが、活き活きと働かれ、ご活躍される姿を拝見しました。

働く人の可能性を引き出すために、日頃の対話やコミュニケーションを通じ、個々の従業員の皆さんが働きやすいよう、それぞれの障がいへ配慮や、特性や強みを活かすの工夫が職場内の各所に施されていました。

まさに、前述の「メンバーが心から望む結果を出せるようにチームの能力をそろえ、伸ばしていく」ための工場のようでした。

また、業務や能力に関する改善を日々繰り返すことで、障がい者の皆さんができる業務を常に増やし続けておられます。

多くの施策や仕組みが導入実施されているのですが、一部を挙げさせて頂きます。

社内コミュニケーションを活性化する役割の設置

工場内の各フロアには、従業員とのコミュニケーションを取るための役割を持ったスタッフが常駐しています。

コミュニケーションスタッフは、フロア内の各従業員へ歩み寄り、彼らが何か伝えたいことや思いついたこと、困ったことがあったりした際に、すぐにコミュニケーションを取れる環境づくりをしています。

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ニコニコボード

「ニコニコボード」という取り組みも導入実施されています。

これは、その日の自分の状態を0~100%で表したマークをホワイトボードに貼り付けてメンバーで共有する仕組みです。

以下の写真のように、ニコニコボードを見ながらミーティングでお互いの心身の状態を確認することができるため、業務中、コミュニケーションを取り合いながら、お互いにサポートすることができます。

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引用:オムロン様ホームページより
https://www.youtube.com/watch?v=IIDN2IG0B_4
※URLをクリックすると動画が再生されます。

提案や要望に関する風通し

従業員の皆さんから職場改善に関する要望などがあれば、各職場のライン長などに相談して決めることになっています。また、目安箱を設置して、皆さんの意見を出してもらいやすくされています。

また、職場内には人の作業を助ける独自の治工具や自助具が多く設置されていました。これらの多くは、従業員からの提案や要望の中から挙がったアイデアから生まれたものとのことです。

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個々の働く人が、指示待ちのフォロワーになるのではなく、主体性を持って、自分の立場から、会社や働く仲間、顧客、社会のために何ができるかを、積極的に考え、会社に提案・要望を挙げることができる環境がありました。

三輪 建夫社長は、「誰もが活き活きと働き続けられる現場」「違いを認め、活かす、活き活きと働く人の集まり」を目指されていらっしゃいます。

従業員が働きやすく、パフォーマンスを最大化できる環境づくり

この事例ように、経営者や経営陣が、対話による相互理解を推奨し、働きやすさの向上はもちろん、働く人の特性や強み、パフォーマンスが最大化できるような環境づくりが重要です。

経営陣は、従業員の心理的安全性を伴う風土を育みつつ、対話の中で生まれた提案や要望に耳を傾け、制度や仕組み、ルール、マニュアルへ反映できないか、一つ一つ精査していくことが重要です。

そのような経営陣の姿や、改善されていく会社の姿を見て、また従業員もモチベーションを高め、「よし、頑張ろう」と思えるものです。

このように、対話による相互理解を通じて、職場環境の整備や改善が進むことで、働く人の働きがいや、モチベーションの維持向上につながり、商品やサービスにおける価値の向上へ繋がっていきます。

また、従業員への評価も大切です。これは、職場環境の整備や改善への貢献度が高いと、会社からの評価が高まるという空気づくりの一環でもあります。

オムロン京都太陽では、生産性向上、品質向上、納期順守のための改善とりくみを継続して行っておられますが、1年間の改善活動に対して、報告会を行い、最優秀賞・優秀賞などの表彰も行っておられます。

また、上司と部下や、従業員同士が意見を伝え合う際は、真の問題解決や、組織や個人の成長に繋げるために、「相手への配慮はするが、遠慮はしない」というスタンスでの対話を行なっているというお話もお伺いし、大変印象的でした。

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このように、「チーム学習」を通じて組織としての学習能力を高め、働く人が活き活きと働ける環境を作ることで、従業員満足度やチームとしての一体感を高める源泉となります。

そして、その先に、顧客の満足・感動・信頼を得られるような付加価値である「感動価値」への創造へ繋がる活力が生まれます。

前回の投稿からをまとめると、企業が「感動価値」を高めていくためには、組織全体で、理念をはじめとするビジョンを共有し、対話を通じて相互理解を深め、チームでの学習を継続する組織であり続けることが大切です。

働く人の働きがいを大切にする会社こそが、顧客の満足・感動・信頼を生むと私は考えます。

株式会社JEAN
河上 朗

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